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通訳、翻訳、音楽な日々


by sarah103
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Now we're shooting・・・

随分前に広告代理店からの依頼を受け、日本企業のCM撮影現場で通訳したことがある。
“日本人ビジネスマンが競合他社に勤める外国人達と会議で意見を戦わせる”というシーンの撮影だ。ディレクターの説明を聞き、出演する米国人タレント数名と打ち合わせをした。

衣装さんからイタリア製と思しき高級スーツと靴をあてがわれ、企業戦士らしく決めゼリフも完璧に意気揚々とリハーサルに臨んだ彼ら。しかしそこでは、やれ「僕のワイフほどケチな女はいない」だの「あの店のバーガーは最高!」、「日本人の彼女に騙された」等々、筋書きなどまるで無視して勝手な事を言いたい放題。誰も言われた通りに喋りはしない。

この先どうなることかと気を揉んだが、そこは在日タレント歴が長いアメリカ人達である。
本番ではきっちり決めてきた。さんざん悪口を言われていた彼らの妻達は控え室のモニターで、それぞれ自分の愛する夫の出来を細かくチェック。彼らにとってこの国でのタレント活動には、エージェントの存在と共に理解ある伴侶の存在が不可欠なようだ。

はたして完成したCMでは、全員後ろ姿が一瞬映っただけでセリフは全てカットされていた。
何度繰り返して見ても、アップのショットと台詞があるのは主役の日本人俳優のみ。
こうなることはある程度予想していたが、あの日の私の仕事は何だったのだろうとふと思う。
by sarah103 | 2006-06-27 22:05 | 通訳・翻訳いろいろ