人気ブログランキング | 話題のタグを見る

通訳、翻訳、音楽な日々


by sarah103
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

西山先生のこと

通訳業界では知らぬ人はいない日本の同時通訳者の草分けである西山千氏。今年で確か94歳におなりになる。今もご活躍のご様子で嬉しい。昔通訳学校で幸運にも先生の授業を受ける機会があった。7分程のテープの訳出であるがその日の訓練はリテンションが中心。メモは最低限にしてみましょうとおっしゃる。皆息も絶え絶えに必死に聞き取りに励み、しかしやはりというべきか、他の出来の良い仲間は別としても、私の訳出したものは悲惨であった。先生が一通り皆の訳を聞いた後でご自分で訳出して下さったのだが、その結果がどうであったかは容易に想像していただける。己の出来なさ加減と先生の見事な訳のあまりの落差にため息が出た。しかしその後私たち生徒がどよめいたのにはもうひとつ訳がある。
先生が見せて下さったメモ。7分もあるスピーチで、メモは紙一枚にまさに”マル書いてチョン”状態であったのだった・・。私のメモは何十枚あったのだろうか記憶は定かではないがそれほど衝撃的であった。

言い訳がましいが、振り返れば子育てに忙しく、そして仕事を受けるためにただただ準備で手一杯の日々であった。勉強に割く時間が少なくなってしまった今、あの日を思い出してもう一度しっかり頑張ってみよう。先生が贈って下さった言葉を胸に。

    言葉は人と人、国と国を結ぶ by 西山 千
by sarah103 | 2005-04-06 17:16 | 通訳・翻訳いろいろ | Comments(0)