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通訳、翻訳、音楽な日々


by sarah103
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いろいろと思ふことあり~ジャパニーズ・アメリカンズ~を観て

昨夜からTBS系で5夜連続『99年の愛~ジャパニーズ・アメリカンズ~』(橋田壽賀子原作)が放映されている。私には米国に移民したいわゆる日系米国人の親戚がおり、ひとかたならぬ思い入れがあるせいか、これまでに日系米国人を題材にした小説や映画はほとんど読み、観てきた。今回ももちろん例外ではない。

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異国の地で生計を立てることの困難や人種差別、第二次世界大戦、収容所生活のなかでアイデンティティを失いかけ苦悩し、艱難辛苦を味わった日系人共通のテーマがここには立ちはだかっている。

俳優陣は実力派で構成され(岸恵子には驚いた)、2話より登場の中井貴一も泉ピン子も熱演ぶりが光る。場面それぞれの心理描写も含めてしっかり伝わってくるし、なんといっても今晩は二日目のオンエアで、まだ感想を述べるには早いかもしれない。しかし、この違和感はなんだろう。

『二つの祖国』(山崎豊子原作)や、『ヒマラヤ杉に降る雪』(デイヴィッド・グターソン原作)などで描写された日系米国人の姿と比較すると、物足りなさを感じる。ひょっとしてあまりにもこの題材の書籍に触れ過ぎて自分の感覚が鈍ってしまったのだろうか。

劇中の説明調のセリフも気になった。もともと橋田脚本はセリフが長いというが、あの当時の日本人、今でもそうだが、特に男性はこんなに言葉数は多くないはずだろう?

少ない言葉の中に万感の思いを込め相手に伝えようとする、当時の日本人の姿はそこにはないと感じた。もしかすると言葉の数を増やさないと作品を観ている今の日本人には伝わらない、そういう制作側の意図があるのだとしたら悲しいことだ。

番組を見ながら今から20年以上前、アメリカに移民した親戚と初めて会った時のことをふと思い出した。英語に泣かされた日系一世で、背が高く、ヴィヴィッドな色のアロハシャツに身を包みダンディな、今のアメリカの若者言葉で言うところの"Dude"(=デュード、お洒落でカッコいい人)だったが生活には相当苦労したらしい。

「あんたは英字新聞を、辞書を使わんでちゃんと読めるか?」

「英語を仕事にするのなら、アメリカさんに負けたらいかん。生きていけんぞ」

その子供たち、孫たちは日本語を、もうまったく話せない。日本人の顔かたちをしているのに、今では私とのコミュニケーションもすべて英語だ。ちょっとさみしいけど、それが現実だ。

偉そうに文句をつけてみたものの、いったん見始めたドラマでもある。最後まで見届けることにしよう。少し印象が変わるかもしれないという期待を抱きつつ・・・。
Commented by cassavetes69 at 2010-11-06 00:03
このドラマは観ていないにもかかわらず、立て続けにコメント失礼します。私の祖母はハワイ生まれでして、いくつかの単語(ポケットなど)の発音が英語ネイティブ的な響きがあることがありましたが、まったく英語はしゃべれませんでした。曽祖父がサトウキビ経営でひとやま当てに行って、結構儲かったようです。

いつか、その軌跡を辿りに行きたいとは思っているのですが、知ったところで幻滅するだけかも・・・。
Commented by sarah103 at 2010-11-06 08:44
おはようございます!コメントが嬉しいです、ありがとうございます。
cassavetesさんもご出張でしたね、お疲れさまでした。

英語ネイティヴな響き、おっしゃることよくわかります。一世の方は特にブロークンな中に単語はネイティヴライクで、ハッとしたり。ひいおじいちゃまの世代であれば、サトウキビやコーヒーの事業で成功なさった方が多数いらしたようですね。次の世代がそれに続こうと海を渡り、戦争が勃発し、、という流れとなったように思います。
文句をつけつつ、ドラマは結局観てるんですよ。体に何か組み込まれているんでしょうか、この題材は観ないと気が済まないようで。

軌跡を辿る旅、機会があればぜひそうなさってください。cassavetesさんの感性であれば、幻滅を上回る何か強烈なものをそこから受け取られることと思います。
寒くなってきたせいか最近は特に南の島願望が強くて。とはいえ、椰子の木陰で寝そべる派なのですが(笑)
Commented by Tomoko at 2010-11-06 19:06 x
私も2話のみ見てこれから4話を、、と思っています。
私にもブラジルに日系2世に嫁いだ叔母がいるので、きっと苦労したんだろうなと思うので、人事とは思えなくて。
確かに橋田ドラマは、いいかっこしい的なところがあるのと、
きれいごとですまそうとするので物足りないのかなと思いますね。
着眼点はいいと思うから、きっと脚本がよければ満足するものなのかなと思うんですけど、、

ところで、私胃潰瘍と胃の出血で大変な目に遭いました(>_<)
なんとか薬療法で仕事には穴あけずに頑張れそうです。
Sarahさんもお体気をつけてくださいね。
Commented by sarah103 at 2010-11-07 00:33
Tomokoさん こんばんは!
そうでしたか、そちらも同じ思いできっとドラマをご覧になっているのですね。扱われている大きなテーマには同意しますし、丁寧に作られているのも好印象なんですが、ついケチをつけてしまいたくなるのは私がひねてるからでしょうか・・。

年端のいかないこども、そして大人でも物分かり良い口調で朗々と喋る場面が苦手ですが、えなりかずきも橋田ドラマの長いセリフで育ちましたからね、スタイルの違いだと解釈することにしました(笑)

今日は伝説の2世の442部隊中心でしたが、もう少し掘り下げて見せてほしかったなあと。明日の最終回を見届けたいと思います。

ところでTomokoさん、とても心配です。
お仕事が忙しすぎてストレス許容度がマックス振り切ってるのではないですか?疲れてくると体の一番弱いところにくるともいいますから、どうぞご自愛下さいね。
by sarah103 | 2010-11-05 00:02 | 映画・ドラマ | Comments(4)